ネット依存症とネットワークゲーム

ネット依存症の外来の患者は、MMORPGやFPSなどのネットワークゲームだけの物じゃないのは、先の症例で書いた。しかしそれでも、外来にくる人の70%がネットワークゲームが元であり、10代前半が多いと言う。
今回実施された講習の受講者は、年齢や職業も幅広いと思う。自己紹介ななどなかったが、質疑応答などでわかった範囲では、春休みの大学生、子供を持つ母親、定年退職してヒマそうなおじさんなどがいた。一言で言えば、あまりネットワークゲームなんてやりそうにない人が多かった。
講師は、そういう人を相手に、ネットワークゲームを非常にわかりやすく、システムや魅力をキャプチャー画面をみせながら紹介していた。正直、驚くほどわかりやすいし、ポイントをおさえていた。
これはもうさすが臨床心理士だと感心した。いわゆるカウンセリング、心理療法の一番の王道といえば、ヒアリングだからな。結果として、ネットワークゲームなどやったことのないであろう講師であっても、大変詳しいw むしろネットワークゲームを知らない人に対するその魅力、システム、面白さの説明としては、過去に聞いた誰の、どんなプレイヤーの説明よりもわかりやすかった。

講師が、ネットワークゲームの深みにはまる理由としてあげていた要因、理由は、いくつかある。実際にそれなりに遊んだことのある俺にも納得できる理由だった。
クラン、ギルド、部隊などチームを組んでのプレイのために、抜けると迷惑がかかる、取り残されるなど、責任感、疎外感などを感じるシカケになっていること。
キャラの働きで英雄になれ、アイデンティティが確立される。これについては、おそらく外来患者の高校生の例があって、クラン、ギルドのオフ会に参加してみたら、周りは全部社会人。そこに行った高校生が実は非常に上手で、「若いのすごいねえ」とほめられてさらに深みにはまってしまったという症例もある。
ネットワークゲームは長時間やればやるほど、それなりにレベルやスキル、強さがあがる。一生懸命やっても報われないこともままあるのが世の中だ、そんなリアルの世界に対し、コツコツやれば、それなりにはなれる。
また学校の付き合いだと、3年がひとつの区切りになるのだが、(中学、高校)10年以上での付き合いもあり、リアルの学校の友達より、ネットの友達のほうが大事になる。
基本のスタートは無料もあげられるだろうが、さらにより楽しむためには、後から、お金がかかるようになっている。

今回の講義を聞くまで、「まぁ、そこそこのととろで留まってやっていればいいじゃないか」とか俺は思っていた。だが結局、留まれない、止まらなくなってしまっているから、依存症、病気というわけなんだよな。その前で、止まることのできる人(こっちのほうが、ネット依存症の人より多いわけだが)は、ただのネット好き、ネット利用者、ゲームの好きな人にしか過ぎない。もっとも、楽しいことはネットしかない、となると、いろいろ危険ではありそうだが。

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