ネット依存症と、ひきこもり

ネット依存症と、ひきこもりだが、俺には区別がついていなかった。
今回の講義で、やっと、「なるほど定義が違うんだなぁ」と得心した。そして対処するべき方法も違うことも講師の先生は警鐘を鳴らしていた。周囲にネット依存症、ひきこもりの人がいた場合、これを区別しないで、何かをすると、かえって重篤にする場合もあるんだという。この2つの差を丁寧に教えてもらったのだが、まず、ひきこもりだ。

厚生労働省による、ひきこもりの定義では「社会的参加をしない」「6か月以上」「統合失調症などの精神障害が原因とは考えにくいもの」という状態を指している。

今、ネット依存症で外来の診療を受けている患者は、「社会的参加をする」ことも多いのだという。オフ会があればいくし、アイテムの購入にお金が必要とないれば、バイトして稼ぐことに抵抗もないという。
治験の現場での感触だろうが、これは実際にネットワークゲームの世界に接している俺にも違和感はない。その通りだと思う。フリーターやバイトでかろうじての生活費を稼ぶのだが、大半はゲームにつぎ込む。家賃、光熱費の他、食費などごくわずかで過ごす。パチスロもやっているようだから、ネット依存症とはいいにくいのかもしれないが、生活はかなり破綻している。最後に一度会った。ちゃんと仕事を探すんだ、引退するんだ。何か泣けてくるような思いもした。メシ食え、仕事探せ、こういう方面なら目があるかも、だが素人の俺じゃなくて、まだハローワークの若年対象の正規雇用支援の対象年齢だ。しっかり相談しろ。

昔のコンピュターのゲームだと機械、CPUが相手で、人間の代わりを務めるような側面もあった。これだと人間関係はない。しかし、ネット依存症、ネットワークゲームには人間関係が存在する。むしろ外来の例では、ネット内の人間関係を求めて、ネット依存症になっているケースも少なくないのだという。
勿論、重症になればリアル、現実世界の人間関係を失うことになり、一見すると、ネットでの人間関係しかない(リアルの人にはそれは見えない)ため、ひきこもりと同様に見えてしまうこともあるが、心の動き、求めているものは別のものだと思う。

さびしいさびしいという、たぶん10代の女の子を一生懸命励ましたことがある。父を亡くして母と暮らしていた。リアルの人間関係では言えないことを、他人だから話せるんだということだってあるのは、ネット依存症にまでなっていなくても、ある程度のユーザーならわかることじゃないかと思う。

講義の中では、斉藤理 氏の「ひきこもり脱出マニュアル」が紹介されていた。ひきこもり治療にはインターネットが効果をもつこともある、とされている。(ケースにもよるが)

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